きたみ まゆ

強さと弱さ
京子ちゃんの強さに感動し、弱さに共感しながら読みました。

京子ちゃん、こんなに長い間辛い思いをしてきたのに、泣いていないんですよね。
辛い境遇に浸って涙して、可哀想な自分に酔って好きな人を諦める。
なんてことはせず、いつだって奏くんの隣にいることを諦めない京子ちゃん。

その一方、友達でいられなくなるのを恐れて、気持ちを伝えられない弱い一面がとてもリアルでした。
心の中では「奏」と読んでいるのに口では「高橋」と名字でしか呼べない不器用さが甘酸っぱいです。

この先、京子ちゃんが勇気を出して奏くんに告白する日が来ることを祈っています。
とても素敵な小説でした。