家に居場所を見つけられない高校生の樹乃は、放課後に決まって行く場所がある。身元不明な、“おっさん”と距離を縮めていくけど────!?
居場所がないなら、作ってやると、その男は言葉を紡いだ。
「また来たのか、小娘」
「来てあげたんだよ、おっさん」
名前も、歳も、仕事も、なにも分からない。
そんな人間に、私は、溺れる。
「かっさらうぞ、くそガキが」
「かっさらっていーよ」
私は、あんたの香りに惑わされる。