鎌倉時代。北条家傍流に生まれたささめは、源頼朝の長女、大姫に仕えるため鎌倉へ向かう。あやかしと、前世の恋と、戦いの未来を超えるために。

くだん姫





くだん(件)



半分は人、半分は獣。



歴史に残る大凶事の前兆として生まれ、

予言をなし、

凶事が終われば死ぬ。



――短命。



そして、くだんには、<雄>と<雌>がいる。






時代は、鎌倉草創期。

源頼朝は東国武士の支持を得て、仇敵である平家一門を西海に滅ぼした。



これからは平和な時代が訪れるものだと、多くの人々が信じた。

しかし平家の滅亡は、新たな流血の時代の幕開けに過ぎなかった。