ときは大正、婚約破棄された没落華族令嬢翡翠(ひすい)は成金百貨店の御曹司の花嫁にと売られてしまった。けれどこの結婚を回避するには、歌姫になることが必要で!?
大正六年初秋。
公家華族の令嬢、立花翡翠(たちばなひすい)の日常は、横濱にある金糸雀(かなりあ)百貨店の歌劇を見たその日から、おおきく変わりはじめた。
婚約者との別れを惜しむ間もなく翡翠はつい先ほどまで見惚れていた歌姫、小鳥遊愛間音(たかなしあまね)に連れられ、選択を迫られる。それは。
――変人と呼ばれる百貨店御曹司の朝周(ともちか)との結婚か、歌姫となりアマネを抜いて自由の身になるか……?