めぐり飛空
すらすら読める本格ミステリー
作者様の代表作ともいえる「聖シリーズ」の番外編。
シリーズを通して、本格的ミステリーを貫いている本作品は毎回楽しみにさせていただいております。
三人称だが登場人物と主人公、周りを取り巻く環境、時系列などとても解りやすくミステリーが苦手な方でもすらすらと読める作品だと思いました。
読み進めていく過程、読み終わった後の感想を一言で言えば
「人間はこんなにも簡単な理由で人を殺せてしまうのだろうか?」
ということでした。
謎解き、トリックなどが本格的なのは言うまでも無い。
しかし、動機が私からしてみると「そんなことで?」と思えてしまった。
だが、主人公は高校生。
登場人物も刑事と家族以外は高校生。
高校生ならそのさほど広くない世界に囚われて、どうにもならなくなることもあるかも知れない。
人はそれぞれ、受け取り方や考え方が異なる。それゆえ何に傷つき、怒りを覚えるかには個人差があるだろう。
そんなことも考慮しつつ、今回の設定年齢を高校生にされたのであるなら、またしても作者様にはしてやられた気がしてならない。
続シリーズも期待しております。