朝村真珠

哲学的、発想がいい。句読点は過多。
目覚めると、見知らぬ部屋に、なぜか全裸という状況だった。少女はただひとつの持ち物である携帯電話で、家族や恋人に電話をかけ始めるが・・・・・・・。意味がありそうで、それをされた事自体に深い意味はない。中盤は、タイトな主人公の思考パターンと癖、後半のあらゆる比喩が、哲学的な意味を考えさせられる。
作者は、完璧にその意味するところを感じ取っていないかぎり、あえて難しい言葉を使おうとしてはいけない。なるべく分かりやすく、伝わりやすい語彙を用いながら、優れた美しい表現をするべき。と、これは原則である。しかし、強烈な雰囲気を求めたり、緩急をつけたい時の手法として、様々な作品で破られている。
この作品のなかで「生きたキャラクター」は、主人公独りのように感じる。周りより自分自身を優先する、ある意味では自己中な成果主義の内向的タイプだ。他のキャラクターは、主人公に思考をさせるための引き立て役としての立場。そういう意味で「哲学小説」だ。
句読点は過多。文末、文体が一定なため、序盤のインパクトから中盤に入るまでを作りこむ。今一度、章構成の見直し、更に校正をすると、間違いなくよりよい作品になる。