私が好きな人は、学校の先生で、奥さんがいて、帰る家がある。
「お願い離さないで」
そう言って、泣いて縋り付いたらよかったの?



大きく開け放たれた窓。



風に揺れるカーテン。



秋の夜空に輝く星。



雲に隠れた月。



胸に、閉じ込めた想い。



言いたかったことは、何一つ伝えられなかったけど、

…これでいい。



誰にも誇れない、2人の秘密。



まるで幻のようで、酷く、滑稽な恋でいい。



…充分、幸せだったよ。