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説教くさいが面白い
お話としてはけっこう楽しめました。
展開や主張は分かりやすかったので、話の筋を理解するのが難しいというのはないかと思われます。

「邪悪な者は死後に悲惨な目に遭う」というモチーフはダンテの『神曲』など世の中に多数ありますが、あそこまで様々な者を地獄に落とす話ではありません。
裏を返すと、いじめや殺人の邪悪さは特に語られず、万引きのみが死後を利用されて非難されます。
そのため「やや露骨に主張してきた」という印象を受けました。

作品内部ではなくあとがきの箇所になりますが、善く(道徳的に善良であること)生きることが良く(自身の人生に満足できること)につながる「はず」という意図で書かれている小説のようです。
なので中途半端なお説教ものにはなっていると感じました。
善良な大人の小説であると認めますが、それゆえ心には響きませんでした。
念のために繰り返しますが、善良かつ面白い話ではありました。