あんず
ちょっと元気をもらえる短編集
短編集というものは意外と奥が深い。
別々の話ではなく、読者は続けて読んでいく。
同じような話ばかりが続いていれば読者は飽き飽きしてしまうし、全く統一性のない話が集まっていても困惑させてしまう。
その点、この作品はうまくまとまっている。
主人公がちょっと前を向くストーリー。
主人公の悩みはそれぞれ異なるが、どこか親近感が持てる。
きっと4つの話のうち1つくらい似たような感情に悩まされたことはあるであろう。
数十ページに人一人の気持ちの変化を描くことは簡単ではないが、それを可能にする魅力的なヒーローたち。
後ろ2つの作品のテーマは前書きにあるよう、確かに重い。
だが、そこに書かれているのは等身大の作者様で、作者様の考え方がぎゅっと詰まっている。作者様の応援歌。
気軽な短編集ではあるが、いっぱいに人間を感じられる一作。
そして読み終わった後、どこか温かい気持ちになれるはず。