日下奈緒

怖さの中に温かい優しさ
まずはその完成度の高さに、驚きました

ケータイ小説で、こんなにも本格的なお話を読んだのは、久しぶりなんじゃないかなって、思います

メインは、不治の命を鬼に与えた男・明咲と、その男に育てられた女の子・千雪のお話

千雪が大人になって、明咲と愛情を交わすのは、薄々感じていましたが
(ごめんなさい。)

それだけには留まらないのが、この作品の魅力だと思います

不気味で得体の知れない鬼に、それぞれの願いを託そうとする明咲と千雪の、純粋なまでの愛情が、心までジワーッと届きますし

その後の千雪の魂が歌っているというエピソードも、心に切なく響きます

そして最後に、また背筋がゾクッとするところで終わるラストも、見逃せません

本当に本当に、おすすめです