ただ閉鎖的な空間で生かされるだけの私と、名もしらぬ男。存在の中にある幻はいずれ消えさってしまうだろう。


閉鎖的な村、その村のさらに山奥の緑に隠されるように、私は静かに日々を送っていた。


私の身の回りの世話をするのは、名も知らぬ男。


真実は幻でしかなく、男の語る少女の幻は、私と男が死んだ瞬間に、消え去ってしまうに違いない。


それをただ受け入れる事の出来ない私は、その私の抗う事の出来ない運命、その男の正体、少女の存在、その全ての幻を今ここに語ろうと思う。