雪風
余韻の残る作品
書店で働く日々に少し物足りなさを感じている主人公と、そこへ毎日立ち読みに来る高校生との恋愛物語。
物語の粗筋を目にした時から感じた期待感を裏切る事なく、読み進める度にぐいぐい物語に引き込まれます。
本屋店員とその客、さらに相手は高校生という距離感の中で、主人公の梶井さんが八城くんに惹かれていく感情の変化が、とても丁寧に描かれていて共感できます。
優れた背景描写により、それぞれの人物像がくっきりとぶれずに浮かび上がり、本屋内でまきおこる情景が鮮明に思い描けました。
近くの本屋に、こんな2人が実在していたりして、なんて思ってしまうほど。
八城くんの大人びた雰囲気が素敵なスパイスとして加わり、物語を綺麗にまとめあげていて。
八城くんに、うっかり恋心を抱いてしまいそうになりました。
物語の続きを読みたいような、あれこれイメージを膨らませて想像したいような…そんな不思議な、それでいて心地良い余韻に浸れる作品。
お勧めです。
是非、御一読を。