立ち読み常習犯
彼の手口は、せこい
- 最終更新日
- 2010/04/18
- 作品公開日
- 2010/04/10
- ページ数
- 完結 32ページ
- 文字数
- 14,638文字
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作品コメント
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- 繭結理央
奇作? まず、 わたしは好みの作品にしかレビュ-しないと心に決めている。それを踏まえた上で、わたしの心境を、順を追って説明しよう。 ただ立ち読みするだけのケチなロレックス高校生に、興味を抱く書店店員……愉快な設定だ。わたしは好きだ。 やがて、栞をはさむ彼に精神的な暇潰しを謀り始める彼女。栞を意図的に移動させるという行為……愉快な展開。好き。 さらに、このスト-カ-行為が読了までの期間限定だと思い知る中、気持ちが恋心へ移っていると気づく彼女……なるほど。 そんな最中、万引きを目撃、そして口封じ……ま、待ってと俄かに狼狽。 さらに発熱、割引券、再会、自白……このあたりからテンポアップ。ペ-ジでいえばほぼ佳境。ホントに佳境? 目を白黒させながら……読了。 ま、待っておくれ……読了してなお呟きは止まず。 読者を選ぶかも。でもわたしは何度も読み返してしまった。で、まだ戸惑ったまま。 確かにテンポは早い。灰汁も強い。なのにわたし好み。困った。また読んでしまうんだろうなぁ。 ある意味「奇作」。 なんだろう、この敗北感。
- AnN
本屋さんから始まる恋 タイトルに引かれて読み始めると、面白くて一気に読んでしまいました。 本屋さんに毎日通う立ち読み常習犯の高校生と、彼をいつも目で追いかける店員の主人公。 主人公が、高校生の男の子が読む本のしおりを毎日ちょっとずつずらして自分の存在を伝えようとする。 「早く気付いて!」と主人公に感情移入してしながら読みました。 ちょっとした好奇心が恋に変わっていくのは紙一重。 主人公の心の動きを一緒になって感じられる、素敵な恋愛小説でした。 余談ですが、私は本屋さんに行くのが大好きなので、実際にこんな恋があれば素敵だなぁと思います。
- 雪風
余韻の残る作品 書店で働く日々に少し物足りなさを感じている主人公と、そこへ毎日立ち読みに来る高校生との恋愛物語。 物語の粗筋を目にした時から感じた期待感を裏切る事なく、読み進める度にぐいぐい物語に引き込まれます。 本屋店員とその客、さらに相手は高校生という距離感の中で、主人公の梶井さんが八城くんに惹かれていく感情の変化が、とても丁寧に描かれていて共感できます。 優れた背景描写により、それぞれの人物像がくっきりとぶれずに浮かび上がり、本屋内でまきおこる情景が鮮明に思い描けました。 近くの本屋に、こんな2人が実在していたりして、なんて思ってしまうほど。 八城くんの大人びた雰囲気が素敵なスパイスとして加わり、物語を綺麗にまとめあげていて。 八城くんに、うっかり恋心を抱いてしまいそうになりました。 物語の続きを読みたいような、あれこれイメージを膨らませて想像したいような…そんな不思議な、それでいて心地良い余韻に浸れる作品。 お勧めです。 是非、御一読を。