繭結理央
奇作?
まず、
わたしは好みの作品にしかレビュ-しないと心に決めている。それを踏まえた上で、わたしの心境を、順を追って説明しよう。
ただ立ち読みするだけのケチなロレックス高校生に、興味を抱く書店店員……愉快な設定だ。わたしは好きだ。
やがて、栞をはさむ彼に精神的な暇潰しを謀り始める彼女。栞を意図的に移動させるという行為……愉快な展開。好き。
さらに、このスト-カ-行為が読了までの期間限定だと思い知る中、気持ちが恋心へ移っていると気づく彼女……なるほど。
そんな最中、万引きを目撃、そして口封じ……ま、待ってと俄かに狼狽。
さらに発熱、割引券、再会、自白……このあたりからテンポアップ。ペ-ジでいえばほぼ佳境。ホントに佳境? 目を白黒させながら……読了。
ま、待っておくれ……読了してなお呟きは止まず。
読者を選ぶかも。でもわたしは何度も読み返してしまった。で、まだ戸惑ったまま。
確かにテンポは早い。灰汁も強い。なのにわたし好み。困った。また読んでしまうんだろうなぁ。
ある意味「奇作」。
なんだろう、この敗北感。