仕事場の電話が鳴り響く
気だるげな足取りとは対称的に
受話器に当てられた口元は小さく口角をあげ
営業用の落ち着いた声を放つ
"――はい、お電話ありがとうございます
……えぇ、勿論。仕事は完璧にこなしますよ
ただし、うちは高いですよ?
……は?相応な料金だと思いますが…、
え? ……あぁ、彼をご存知なんですね
いえ、常にと言うわけではありません
私一人で出来るモノが殆どですので
……呼べと? いえ、ですから…っ!
……ッ。切りやがった"
乱暴に受話器を置き、
気分転換にお気に入りのマッサージチェアに座り
ルームウェアのポケットから携帯を取り出す
通話が終わると携帯を向かい側のソファーに
適当に放り投げ
長くウェーブしたピンクベージュの猫っ毛の髪を
高い位置で縛ると 暫しの癒しを堪能するのである
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