~side 優希~
つばさがほしい。
もしも、
この背につばさがあったなら、
大空高くへ飛んでいきたい。
すべてのしがらみから逃れて、遠くへ。
大地を蹴って、高く――。
あなたに出会うまで、
私は、
そんなことばかり考えていた。
ねえ、
あなたが教えてくれた
私にも
つばさがあるんだってこと――。
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~side 零~
人は決してひとりじゃない。
親父がいて、
お袋がいて。
冗談言って笑い合ったり、
寂しい時には慰め合ったり。
オレにはそれは、当たり前のことだった。
なあ、優希。
お前にも気付いてほしい。
人は誰も
ひとりじゃないのだと――。