高校に入学してから時間が1ヶ月ほど流れた時だ。
多田 勇気(ただ ゆうき)は周りが高校でのグループを作るのに必死ななか、新しい友達を探すこと無く、のんびりとしていた。
と、いっても一人きりというわけではない。
中学からエスカレータ式の学校なので、そのまま上がってきたため、仲の良い人がいるのだ。勇気のグループは全員で四人。
クールな雰囲気の大人しい羽原 尚(はばら なお)に、よくしゃべるイケメン高松 陸(たかまつ りく)。勉強もでき、運動もできるチートと言えたまとめ役、桃屋 隼人(ももや はやと)だ。
この学校は高校に入る前に半数以上が辞めるで、まさか全員が上がってこれるとは思いもしなかった。
やめてしまえ原因は、突発したものがないのでしがみつく意味がないこと。無いまたは専門学を習うために別の学校を受ける人が多いためだ。
高校になれば二人に一人は変わってしまうし、それゆえに新しい風が入ってくることもよくある。
特に高校入学の生徒はエスカレータ組の輪に入るため、珍しいものを持ってきた。それは物にしろ、情報にしろ、遊びにしろいろいろだ。
(変なのが流行ってる)
勇気は帰りのHRが終わってから、他三人を待つあいだの放課後。自分の席から斜め前の席で、やたらと楽しそうな女子三人を見る。
今回はやたらと偏った遊びが流行っているのか、その子らは何かを書いた紙に百円を2枚重ねたものを乗せ、質問を繰り返していた。
まるでコックリさんのようなものだ。これを見たのは今回で五回目になる。
決まって呼ばれる名は”ヤドワラさま”だった。