理香

側にいられるだけでよかったのに
「側にいられるだけでよかったのに」
「話せるだけでよかったのに」

いつの間にか、「あなたのすべて」を望んでしまう主人公。
女性なら、当然の「幸せ」を求める気持ち。


それを押し殺すことを自分に課した場合、主人公のように幸せを求める本能が歪んだ形で噴出しても何ら不思議ではない。



腕の赤い筋。



自傷行為の描写では、嗚咽を禁じ得ない。

若い女性の結婚の夢と
経文の難解な文字

一見そぐわない要素だが、この作品の中でこの2つのイメージは見事に噛み合っていた。
それらの歯車が噛み合い、ドラマが進むことによって
主人公は傷つけられ、自らの手でその恋に終止符を打つ。


避妊が必要な性行為が「心を蝕む」

「本能は、不毛な交わりを拒絶する」

この事実は刃物のように、わたしの心にも突き刺さった。


自然に反する戒律で
欲求を押さえ込む道徳で
人は人を壊してしまう。


アキの傷に、心の傷にも体の傷にも、寄り添いたい位共感した。

自然な妊娠、出産を求めるのは、叫びのような女の本能だ。


理香