うのたろう
一本の桜に刻んだ思い出たち
個人的にかなり大好きな作風である。
物語はゆったりとした三人称で展開していく。
主人公リツは、ある寒い三月、お気にいりの桜の木のしたにいる。
彼女は傷つき、だが、どうしていいかもわからない。そんな状況。
結論がだせないまま、ただただ彼女は泣いている。
そこにふわりとあらわれたひとりの男性・サクヤ。
ふたりの出会いはたばこの甘い煙とともに……
ネタバレをさけたいのであまりくわしくは書きたくないが。
個人的には冒頭でオチがわかった。
が。
ラストにあらためて言葉にされたとき、不覚にも震えてしまった。
予想はできていたはずなのに、それをうわまわれたという感じだ。
仙人という単語のジャブもひじょうにうまい。
個人的なベストはラストでのリツのひとりごと。
純粋さに胸が痛くなってしまう。
これは、かなりオススメだ。