杏花
淡く、そして切なく。
中学時代の初恋。
それは切なくも大切な思い出。
大好きな彼女の視線の先に自分がいない事を実感すればするほど、臆病さが彼の中に渦巻くようで。
想いを伝えられない、伝えても意味がないと悟っているもどかしさ。好きが溢れる度にどうしようもなくなってしまうふがいなさ。
そんな彼の感情が丁寧に、よりリアルに描かれていました。
そんな初恋があり、傷つく事を恐れていた智也が迎える成人式。
期待感と複雑な感情が入り混じる中で、再会した彼女。
あの時言えなかった想いがさらりと言葉になったのは、彼が大人になったからなのでしょうか。
前に歩き出す智也の幸せを願います。
作品を読み終えた後、ふと初恋の人の笑顔が浮かびました。
素敵な作品ありがとうございました。