Wind‐up~その手をのばして~【完】

作者桜瀬ひな



『エースで4番


以外、やったことありません』




『キミ越しの太陽』



青い空に浮かぶ夏の雲


グラウンドに舞う砂埃


汗の染みたユニフォームと土の匂い



もう二度と訪れない

私たちの夏




グラウンドの土に染み込むたくさんの涙


悔しさは汗のように引いてくれない


時計を巻き戻したいと願った



もう決して戻らない

僕たちの夏




キミ越しに見た眩しすぎる


あの日の太陽を瞼に灼き付けて


流した汗を勇気に変えて


零れた涙はバネにして



立ち止まらずに進んだら


きっともう一度訪れる



僕たちの


私たちの


たったひとつの夏



詩:栗栖ひよ子様より