結城夏乃

胸が震えるようなワクワク感!
細部まで抜かりなく作り込まれた設定は、その世界観を自分の中にリアルに想像させてくれます。一人一人の人生に寄り添って描かれていくさまに見事に引き摺りこまれてしまったようです。
不器用で生意気なセルヴォーと柔らかく包み込むような優しさを持つラルム、この二人の組み合わせが一番好きで、二人の絡みの度に微笑ましく読み進めました。このどうしようもなく不器用な男には彼女しか着いていけないだろう、と温かい気持ちになります。ラルムの悲しみに寄り添って涙を流し、ラルムのために必死で走り、ラルムを力一杯抱き締める。なかなか素直になれないけどラルムを想う気持ちの強さをひしひしと感じる場面があり、胸を打たれました。
レヴやフォルスが心を開いていく過程もとても丁寧です。レヴの仲間を想う心や、フォルスの優しさや強さに惹かれました。
竜の痛みもひしひしと伝わってきます。本来ならとても尊ぶべき感情である愛を、愚かしいことなのかと思ってしまう、思わなければいけない悲しみは、とても哀れでやるせなさがあります。だからこそその血を引く二人の、互いへの深い愛の結果は、かつての彼らの祖先への救いのようにも思えました。