麻井深雪
希望の光は彼自身をも救った
14歳の若さで死んでしまった少年の物語。
物語は幽霊となった彼の目線で語られます。
そこから成仏を目指し、未練を突き止める物語と同時進行で、彼の周りの人間が主人公となり彼に救われるエピソードが節ごとにまとめられています。
周りの人間のエピソードだけでなく、死者目線だけでなく、両方を上手く取り混ぜて四十九日までの時間軸もちゃんと動いて行く、その構成が見事だと思いました。
徹平の言う人生を導くような台詞は、子どもらしくなく、リアリティに欠ける部分はありますが、そのメッセージ性の強い台詞には感銘を受けます。
節ごとに主人公が変わるので飽きずに読み進めることができますし、それぞれのエピソードに感動があります。
主人公徹平の物語も、成仏のシーンは涙しました。
恋愛要素はあまりないですが、友情、仲間、家族…、愛がたくさん溢れたお話です。
ラストの涼介と春貴のやり取りは心にグッときました。
24年間、待ったという涼介の台詞が良かったです。
そして『結び目』という素晴らしいタイトルの意味も。
ぜひ最後まで読んで『結び目』の意味を確かめてください。