夢の底。そこには、哀しき「死」を迎えた者に、「夢」を与える者達がいた。
その世界に紛れてしまった少女は、自分に関する「記憶」を、完全に失っていた。
そして、その世界の住人である、夢織姫(ゆめおりひめ)と出会う。
何もわからない少女は、何故か、どでかい月が暗闇に浮かぶ中、英国式にセッティングされた、アフタヌーンティーを体験することになる。
そこで、少女は夢織姫に、自分が遠くに見える高い塔の天辺にいたこと、そして一人ではなく、もう一人連れがいたこと、さらに「現」に戻そうとしたことを嫌がって、塔から飛び降りたことを教えられる。その連れとは、一人の若い青年であり、彼も自分自身の「記憶」を失っていた。
それぞれに、夢織姫から「カノ」と「カレ」という名前を付けられ、二人は、失った自分の「記憶」を探し始める―。