NOEL

不思議と惹かれる作品だが一言にジャンルをくくれない。あえて言うなら「学園青春コメディー」だ
感情文が多く、主視点のヒナの分析が的確なため各々のキャラに感情移入しながら読み進めれました。

そんなヒナも、砕けた感情文や無駄口から活発な印象を受ける反面、恥ずかしくて俯いたり責められて泣きそうになったりなど精神面に弱い印象もある。が、妙に冷めた一面もあり、一点に留まらない性格に惹かれるものを感じます。

文中では一言で現せる事例に、類語の二字熟語や比喩、形容詞を多く使う事で、同じ言葉を繰り返さずに"全く同じひとつの事"を丁寧に説明・表現しているので想像しやすく、文章を安っぽくせずに独特な世界を作り上げていたので、作者様の博識さに脱帽です。

しかし、二字熟語へのふり仮名や回りくどい表現が、時折しつこく感じる事もあるので、常用されない言葉は自重し分かりやすい言葉に変えるとより親しみやすい作品になるでしょうし、キメの場面では一言ですっきりと表現しても良いかと思いました。


不良ものかと思えば、教師vs生徒の学園もの。かと思いきや生徒vs生徒の青春。そして、盗難といった学園でありがちなミステリー。ジャンル分けを悩んでしまう今作は、ただただ惹かれてしまう良作です。