流星

舞い散る花びらのように
以前「STALKING LOVER」(稔)、「MOTHER」(イノリ)二本立てで読ませていただいていたものが今、「d`e…fl`ower」となって甦りました。
今回もじっくり読ませていただきました。

前半は稔、後半はイノリが主体ですが、回想部分は客観的に語られており、自分もその場に居る第三者のようにあれこれ考えさせられました。

最初は純粋に想い合っていたはずなのに、日々の生活に追われ信じる事を疎かにしてしまい、すれ違っていく様が丁寧に描かれていました。
それと比例して、稔の束縛とイノリの恐怖心も高まっていきます。
そんな気持ちのズレがやがて悲劇を生み、ストーカー監禁事件という大事件にまで発展・・・。

病魔に蝕まれた稔の絶望が引き起こした暴走ともいえますが、恐怖の中同情が愛情へと変化、そして稔の死後は後悔に苛まれ、俊輔との幸せも放棄してしまうイノリも気の毒でした。

こうして二人とも幸せにはなれませんでしたが・・・俊輔と穂のラストの場面は心が和みました。
両親の出会いの場面に酷似した、車椅子の少女との出会い・・・。
大嵐の後に虹を見た気持ちになりました。