私のはじまり

作者香 一波

あの世界に堕ちた時のことを・・・
事実は小説より面白い・・・

見ることだけ許された拘束の中

テーブルに並べられた道具類を選別するその手を見る

大きさに似つかわしくない繊細な動きを知っているその指は

いつも爪が短く切られている


何を考えているか分からない横顔を見ながら

その気持ちを必死に探ろうとする

こんな状況でも全て自分の手の中に墜ちていると思われたくない

そんなに私は簡単じゃない


ただ・・・拘束され自由の利かない身体でいるこの時に

私は一番自由を感じる・・・