『闇』
それは真っ黒で、何も見えなくて、恐ろしいもの。
だからだろうか。
『闇』から逃れようと足掻くものはたくさんいる。
正直、馬鹿な奴等だと思う。
1度『闇』に堕ちてしまえば、抜け出せる確率はゼロに近いのに…。
私が知る限り『闇』から逃れられたのはほんの拳一握り程の人数だ。
それ程、『闇』は深い。
私はその深い闇の中で11年間生きてきた。
最初は、私も闇から逃れようと必死に足掻いた。
だけど、私は足掻くのを止めた。
寧ろ、一生闇の中で生きてやろうと思った。
だって、それが私の運命なの。
仕方のないことでしょう?
運命とは抗えないものだったんだ。
6歳だった幼い私にとって、運命に抗う事は難しかったのだから。