遠野ましろ

恋愛と共感。そして痛み。
P.200~はタケルと主人公の想いが痛いほどに伝わってきます。

寂しさという隙間を埋めるために男の人と付き合う。好きではない相手だからこそ気が楽。
いざ本当に好きな人と付き合うと…自分のいままでを振り返ってしまい、汚れた人間だと思ってしまう。
そんな感覚がひしひしと伝わってきます。

神視点が時々混ざると思っていたら、ノンフィクションなのですね。

お話は誰しも感情移入出来ると思います。
主人公の心情が丁寧に描かれています。プラス、現れた男性たちを、今まで見てきた誰かと重ねられるので。

文体は携帯小説らしいライトさ。

全体的に、特に会話の場面は、主人公の感情と台詞で淡々としがち。例をあげると正樹との会話。(P.173~)
合間に相手の仕草や見える情景など、他のエッセンスを入れてもいいかと。
自転車のベル音、子どもが走り回る靴音、その辺の木の葉っぱ、見上げた空の色。
アイテムをひとさし入れることによって、伝えたい内容を強調出来ることってありますし。好みの問題ですが。

タケルとヨウ登場以降は一気読みでした。凄く惹き込まれました。