だから私は雨の日が好き。【夏の章】【完】

作者月影 雫

胸の奥が、ざわざわしている。この気持ちが、動く日が来るのかもしれない。ねえ、湊。今でも想い出す。大切なものを探して今日も『今』を生きるOLの物語。第二章。





大きな手。


冷たい指。


するりと髪の毛の間を


なぞる感覚を、


やっぱり懐かしいと思った。





窓に当たる小さな雨粒が、


ぱたぱたと音を立てていた。





ねえ。


小さな傘の中で、


私たちは二人だけの世界を


見つけたと想ったの。





それは、間違っていたのかな。


いけないことだったかな。





ただ、好きなだけ。


ただ、いとしいだけ。





ただ、忘れたくないだけ。