Dear My Sweetheart

作者直崎 樹里

人間なんて自分が一番かわいいもの。俺はあの日、はっきりとそれを思い知らされた。






 「人間なんて

   “そんなもの”だろ?」




 傷つくことを恐れ、

   自分を守るためなら          他人を傷つける。




『そんなことない』




 返ってくるのは、

   いつもお決まりの台詞。



 善人ぶらなくても、

  認めればいいじゃねぇか。



自分は“弱い人間だ”って。




「お前はどう思う?」



だから俺は、

君もそう言うと思っていた。








         ……だが


「そうだね」




  返ってきたのは、

     思いもよらぬ言葉。



初めて肯定されたことに、

俺は驚いた。



自分は“弱い人間”だ

と言った君。



俺はそんな君を

“強い”と思った。