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ある殺し屋がいた。
由緒ある家に生まれた男だ。
地位も名誉もある家だ。
彼はその家の後々の当主になる男だった。
彼は非常に好かれていた。
使用人、現当主、先代、母親、兄弟、友だち、婚約者、ましてや犬猫めでにも。
人柄のよい優秀な跡継ぎだった。
だが、彼が大切にしていたものは少し異端だった。
いや、モノではない。
「時雨!」
そういってほほ笑む。
「・・・・おまっえだけでも!・・・いき・・・て・・く」
そういって彼女のために朽ちる。
彼の婚約者が嫉妬するまでの激しい熱をひたすら彼女に注いだ。
彼女の名前は、海崎時雨。
世界最強の男に熱を注がれた、堕ちた龍である。