清乃

美味しいご飯は人を幸せにする
早く、簡単に、幸せになりたいのなら。


私は美味しいものを食べる事をお勧めしたい。



このお話では「子はかすがい」ならぬ「料理はかすがい」である。主人公の兄が作る「レタスチャーハン」。これが一度ならず二度までも主人公を救うアイテムなのだ。
このたった13ページの短編で、しかも兄は名もない登場人物にも関わらず兄の人柄は如実に表現されている。一番顕著なのがラストの締め方。たった一言の兄の台詞で作者様は筆を下ろしている。たった一言の台詞で充分だからだ。
きっとこの兄は何でもソツなくこなすタイプ。飄々としていて周りがつい油断していると「一流大学受かっちゃった」なんてサラリと言ってみたりするのだろう。少し天邪鬼のきらいもあるが大切な人にはとっても優しい人、だろうと感じた。
主人公は小6で初めて兄のレタスチャーハンを食べたのだから高校生までには少なくとも3年は経っている。それでも忘れられない味、兄のたった一言の台詞で主人公は兄の優しさを噛み締めたに違いない。


優しさのいっぱい詰まった作品である。