mimiko
たとえば春先のスミレに目をやれる人だと……
筆者さまは、道端にひっそりと咲くスミレの花の美しさに目を向けられる人なんだと思います。
日常を丁寧に丁寧に語り、その描写で語りかけてくる手法に、筆者さまの妥協はありません。
きっと感性は個々にあり、スミレの花に目を止めるのか、日向ぼっこ中のネコを見つけるのか、木漏れ日に愛しさを感じるのか、人それぞれに違うということを知っている方なのだろうと思います。
キャラクターに対する愛情は、文字通り我が子に抱くそれと同じです。
このボリュームの本に、ほぼ誤字や誤変換がないのは驚くとともに感心しました。
見習いたい心構えです。
ひとつだけ、これだけ丁寧に時間軸を追って語っている作品なので、文中に擬音を使わない工夫はどうでしょう。
それこそ聞こえ方やイメージを読者に想像させるような綴り方の方が、筆者さまの文体に合っていると思いました。