うのたろう
短いなか、構成がていねいに
22頁の短編。
内容は、ある休日のひとコマ。
主人公・莉里は友人・菜穂につれられて学校のバスケの試合を観戦しにいく。
菜穂の目的はイケメンの先輩の観察的なものが目的だったのだが、その試合で莉里は中学時代に片思いをしていた水口くんと再開する。
構成はいたってシンプルだ。
起承転結が本質的な部分でしっかりとできている。
受動だった莉里がクライマックスに背中をおされ能動に変化するさまはよかった。
短編という性質上、展開が力まかせな部分もあるが、すべての事象に理屈をきちんととおしている。
ていねいに練られているのだろう。
また語彙力もあるので、作中の景色がヴァリエーションに富んでいた。
作品に情景描写自体はすくないが、そういう面できちんと景色を見せてくれる。
ティーンの女の子らしい、とてもかわいらしい作品だった。
同年代の女の子たちには、共感できる部分もあるように思えた。