記憶の果てに。 【完】

作者哀音 和羽

大切な記憶を消し去った少女が新しい恋をする話し…



とどかなかった。

とどかなかったの。

手も声も言葉も想いも。


目の前で全てが消えたの。

目の前から全てが消え去ったの。


ねぇ どうして

どうして?

どうしてあなたは

あたしにいったの?


“好きだよ”


頭から離れない。

あなたの最期お言葉

今まで以上に優しい声

あなたの閉じた瞳から

静かに涙がこぼれたの



「何で笑わないの?」

「何で泣かないの?」




あたしは全てを

     消し去ったの。