芙佳

児童文学を思わせる優しさ、懐かしさ。それでいて新しいという不思議な魅力。
ヒロインゆきちゃんの語り口調「ゆきは、~~なんですけどもぉ~」に正直、最初は馴染めなさを感じましたが、
すぐに虜になっちゃうのです、その語り口調に。ゆきちゃんの語りが楽しいから読んでいると思うほどに。
イヤミがない天然キャラが秀逸です。可愛い、面白いと素直に思えました。
ああ、この感覚は「児童文学」を読んでいるようなほんわかした気持ち。

不思議な生き物との交流、周囲の人間模様、ファンタジー的な要素あり、純粋で可愛い恋の進展あり――
のんびりした空気の中にもメリハリとユーモアが効いていて、楽しい作品でした。悲劇の感動としなかったラストも好きです。

特にゆきちゃんの家族が最高。兄妹の関係も微笑ましくて良かったです。