mimiko

毒薬を口に含むような危険な甘やかさと、驚愕の結末が今宵を彩るサスペンス
追憶のマリアから、是非連続してお読みください。

私はこの作品を目にしたとき、人の一面では測れない奥深さと、そして悲しみに、只人でしかない己の矮小さに愕然としました。


人は生まれた時はみな平等で、幸せな人生が約束されている。
そう信じて疑わないはずなのに、運命の歯車はどうしてこうも残酷なのでしょう。

本作の主人公「剛史」が、自分の幸福を必死に手元に残そうと掌を広げているのに、砂時計が時を刻むように無情に零れおちていくその様。
涙が出ます。


彼の生き方はけっして褒められたものではありません。
しかし自らの破滅を望み、壊れ続けていく彼の姿は、背徳の天使のタイトルにふさわしく、美しくさえ見える瞬間があるのは何故でしょう。


彼の人生は、我々が理解しなくて良いものです。
ですが筆者様にやはり言いたい。
この作品を書いてくれてありがとうと。


彼の生きざまを見たことを決して後悔させない、すばらしいサスペンスです。