柚茶緒花

読んだら最後!この作品の虜に
読み終わったという実感がなく、いつまでも『ロシアンルーレット』の世界に入り浸っているような、暫くはこの余韻から抜け出せそうにありません。
こんなにも本格的かつ息を呑む展開の数々に翻弄された小説はiらんど内では初めてでした。
刑事ドラマに出てくる名シーンが見事に文章化されたような、だけど独特の世界観と軽快なテンポで最後まで新鮮さを失うことなありませんでした。
十年もの間失踪していた兄との再開というドラマチックな展開から始まり、ノアとの出会い、暗殺計画、まどかさんの殺害、前代未聞!警察官である皆人の無罪の逮捕、上司の裏切り、思わぬ陰謀、父との対決…緊迫続きでしたが、ところどころの皆人の悲観的さは癒しの為にあるのだと勝手に思いながら楽しみました。
最後、良治の登場でこの膨大なスケールの事件に終止符が打たれるというのが良い意味で脱力し、解決があっさりなんて思わず、むしろこれが余韻を残す最大の秘訣だと思っています。
こんなにも感想を書きたいと思った作品はなかったですし書きたいことがありすぎてまとめるのに苦労した作品もなかったです。
素晴らしい作品との出会いに心から感謝しています。