芙佳
思春期の闇と希望
一年近く前に拝読。時間が経った今でも鮮明に心に残る作品。
400頁を越える長さ。気づけば明け方まで読んでいた自分にびっくりした。飽きる暇がなかった。
最初の印象は「関西弁の雰囲気がいい」。冒頭のゆる~いノリに「ラブコメ?」「何でジャンルがミステリー?」と不信に思いつつ、先に読み進めたくなる魅力ある文章。
そして読み進めるほどに、シリアスな展開。予想外。謎を知りたいような、知りたくないような、祈るような泣きたくなるような、そんな感じ。
愛なんかじゃない。憧れ、虚勢、同情、無関心、お節介。「恋愛感情」や「友情」と簡単にひとくくりにしてしまえない、複雑なそれは、やっぱり愛なんじゃないか。
思春期の闇。生きにくさ。未熟さ。純真さ。愛しく哀しい彼らの物語。大好きです。