侯爵令嬢イザベラの婚約者として社交場に訪れていたルーゼルは、喧騒から逃げ込んだ先のテラスで出会った女性に懐かしい愛称で呼ばれて驚いた。
子供の頃よく遊んでもらった年上の女の子――ずっと忘れていた記憶が次々と蘇る。彼女の名前はエリザベス。ルーゼルの幼馴染みにして初恋の人だった。
首都に戻ってきたばかりだという彼女を見送ると、イザベラは〝御気の毒に〟と呟いた。
変わり者で有名な高齢の公爵に見初められ、引退を条件に捧げられることとなった辺境育ちの子爵令嬢――それがエリザベスだった。
十年ぶりの再会を機に、再び彼女と交友を深めていくルーゼルだったが、やがて懐かしい思い出を汚すような淫らな夢に悩まされるようになっていき……