「貴方はどこから来たの、どこに行くの。」
彼女は答える
「私はここから来て向こうに行くの。」
少しおかしな子だと思った。それでも私には丁度いい話し相手だ。
「何してるの?」
彼女は答える
「空を飛ぶんだよ、私はね。」
彼女の答えに私は違和感を覚える。彼女はいきなり私の前に現れてお母さんから私を連れ去ったのだ。きっとお母さんは今必死に私を探している事だろう。私もお母さんのところに帰ろうと思った。でも、帰ろうとすると彼女が邪魔をして帰らせてもらえないのだ。
「ねえ、帰りたい。」
彼女は答える
「どこに帰るの」
私も答える
「お母さんの所」
彼女は答える
「お母さんって誰?」
すると遠くの方からお母さんの声が聞こえた。
「お母さんが呼んでる」
彼女は答える
「また、来るからね」
その瞬間、私の横を凄い風が通り過ぎた。
今日の天気は台風である。