小泉秋歩

ちっちゃな優しさのエネルギーが、どこまでも広がっていく。
ちょっと気になる男の子・花房くんと一緒に下校することになった由良。
彼女は花房くんに、最近読んだイギリスの漫画について熱弁するも、ふと気になって、「こんな話、面白い?」と尋ねる。
すると彼は笑って、ある奇妙な方程式について説明するのだった。
それは、【そのイギリスの漫画で、おばあちゃんの腰痛が治る方程式】――?(『エネルギーの方程式』)

一話当たり1~7頁程度の掌編集。
ほのぼのした日常風景を描いたものから、不思議なファンタジー、ややシリアスな恋愛ものもあれば、クスッと笑えるギャグもあり、ジャンルは多彩。
一つ一つの作品が非常に短いので、喫茶店で紅茶を待つ間とか、お休み前のちょっとした気分転換などに最適です。

全ての作品から共通して感じられるのは、作者の「人間」に対する優しい視線。
時にすごく深いテーマを語っていたりするのですが、その書きぶりはさりげなくて、決して読者に作者の主張を押し付けてきたりはしません。
読み終えた後、あなたの心の中に、ほのかに温かい何かが宿る――これは、そんなエネルギーを秘めた、掌編集なのです。