春は刺殺夏は飛び降り秋は毒殺冬は絞殺
春は桜の舞う中赤黒い血に染まりたい。
夏は青い空に飛び込みたい。
秋は葡萄みたいな色の美酒に酔いたい。
冬は白銀の世界の中に一人佇み静かに眠りたくなる。
私はいつもどこかへ行きたかったんだと思う。
それがどこかはいつも分からなかった。兎に角、ふと別の世界に思いを馳せる。そしてそのどこかにある世界への行き方は季節毎に異なり、私はそれを知っていた。
私はいつも1人になりたかったんだと思う。
家族のことを愛し、愛されていた。当たり障りのない生活を送っていた。仲の良い友人もいた。
私はいつも、人より少し不幸でいたかったんだと思う。
自分がいかに恵まれているかを知っていた。誰かの同情が欲しかったわけでもない。それでも私はいつも息苦しかった。窒息しそうだった。いっそ本当に窒息してしまえたら良かったのに。
夜が好き。眠る瞬間の微睡みの中落ちていく感覚が好き。
明日のことは何も考えずに、ただ今日が終わることだけを考えるの。
嗚呼、でもそういえば、明日は晴れるみたい。
明日、夏の青い空に飛び込んでみよう。