私の眼鏡を取らないで。【完】

作者桜瀬 亜夢

良い就職先に就く為に血の滲む様な努力をしてきた悠里。大手企業に就職出来たと喜んでいたのも束の間、そこにはサボる事しか頭にないダメダメな副編集長が居て―――‥‥。






きっと、私は誰よりも頑張った。


そう、私は頑張ったのだ。









派手な身なりに興味もなければ、

無駄に煩い音楽にも全くの関心がない。




ぺちゃくちゃと口を開けば自慢大会になる

形だけの友達なんてものも、皆無だ。








私は勉強一筋で生きて来た。

それは良い大学に入る為、良い就職に就く為。






脇目も振らずに誰よりも努力した。

そのための犠牲も惜しまなかった。










そして、その夢がようやく叶ったと思った。


そう、思ったのに――――


そう、信じていたけれど―――












「悠里ちゃん、ほらほら~もっと気楽に!」


「‥‥いい加減にしてください(クソ)副編集長」




「怒ったら、早く老けちゃうよ?」


「‥‥‥お前の所為だろうが(地獄に落ちろ)」











私は今、人生初めて路頭に迷っている。













((その優しい瞳は、私を見てはいなかった))










『NAU企画』参加作品


ジャンル:オフィスラブ

テーマ: 『午前三時のお茶会』