彼は、憤怒、嫉妬、憎悪などの
悪い感情を持ち得ていない。
悲哀、憐れみ、同情。
それらの感情を持ってはいるものの、
全てに対して……いや、
人間社会の全てに関して
無関心なのだ。
興味があるものといえば、
「薬」にも「毒」にもなる
植物のことばかり。
醜悪な環境を浄化するために、
自らの故郷をあとに此方へ来た。
……………………
知り合いの神社に居候中
仮面で隠された彼の、
秘密の想い
不知火 虚(シラヌイ ウツロ)16歳
効き目抜群薬毒を作り・売る
薬毒師
『知らぬ存ぜぬで君は通すと言うのなら、僕も一つ、手を打とうか。』
……………………
上手く隠された彼の心。
探れば探るほど嵌まり、飲み込まれる。
まるで…彼は。
果てなく続く
無限階段と、
止めどなく堕ちる
蟻地獄のよう。