憧れていた世界。
夢への扉。
その幻想を開いた刹那、私は現実を覚えた。
振り返ると夢物語は遠く彼方へ消え去っていた。
時の刻みを刻々と感じさせられ、その無情さを知る。
現実とはこれ程まで冷酷なものなのか―
悪い夢なら覚めて欲しいと願う毎日。
覚めるはずもない。
現実なのだから。
願う度思い知る無限地獄。
ああ…
夢物語を抱いた頃に戻れたら、と
願いと悩みが募る。
悩み疲れ次第にどうでも良くなる日常。
すべてに意味を感じなくなった時目覚めた魔性の感情。
―死にたい。
現実世界の終演の幕を下ろすことのできるその囁きに、私は耳を傾けつつあった。
※この作品はフィクションです。