栗栖ひよ子

今までになかったような愛の結末
上・下巻合わせて、結構な量があったのに、一気に読破してしまいました。
それくらい、この作品の怒涛の展開にのめり込んでしまいました。

憧れのアーティストとの恋、というところまでは、王道のラブストーリーですが、その結末は今まで読んだどの恋愛小説とも違いました。

二人が選んだのは、まるで自ら茨の道を進むかのような選択……。

ラストシーンまで読み終えた時には、まるで主人公の濃い生涯を、自分も一気に体験してしまったかのような、力が抜けてしまったような気分でした。

人によって、とても幸せな生涯、と思うか、悲恋に身を捧げたと思うか、この作品の捉え方は様々かもしれません。

でも私には、主人公たちの姿はまるで、大人のお伽噺を読んでいるかのように、美しくて悲しくて、でもとても幸せなように感じられました。


作品の随所に登場するバンドの歌詞も、心に響くものばかりです。

アラフォーの作者様の渾身の一作。
ありがちなアーティストとの恋愛ものだと思わず、ぜひ読んでみて下さい。

読み終わった時には、新たな愛の形について、考えさせられてしまうはず。