マナトのいとこのハヅキ(葉月)は、祖母の家の片付けの手伝いをしていた。
押し入れの中から、ほこりがかった小さい缶の入れ物の中に楕円形の大きな種を見つける。
それは、祖父が戦地から持って帰ってきたものだった。
興味が湧いて、さっそく植えるがなかなか芽がでない。
しびれを切らしたハヅキは、誰かに一緒に育ててもらおうと考えた。
それは、風船にその種をつけて飛ばして、その相手と文通をしようとのアイデアだった。
そして、その風船は運命を乗せて空へと舞い上がった。
それから、ハヅキの風船は田舎から都会へ舞い降りた。
手にしたのは、大学病院で治療を受けているココネと同室の女の子だった。
その子の名前は、ミサキ(美咲)。
それから文通は始まった。
出会いは偶然が重なって、すぐ訪れた。
先の見えない将来を悲観するハヅキに、懸命に命を全うしようとするミサキ。
二人はすれ違いながらも近づいていくのだが。