六軒坂のクライくん(連載中)

作者蒼井

不思議で気味の悪い、忘れられない夏休みを、ありがとう。さようなら、クライ君。



いつだって同じ。

いつだってくだらない。

街灯。伸びる影。

水辺。ゴミだらけ。

壁。ラクガキ。

夢。みたことある場所。

噂。作り話。

鏡。自分の…


いつもと変わらない日常。

変わらないはずの小さなぼくの世界。


「ほつれるのは簡単なんだ。自分ではそう思っていなくとも、いくら取り繕っても、零れだしてしまうんだよ。そういうものはね」


『彼』がこの町に来た。

ただそれだけのことで、白黒の景色は不思議に不気味に彩られる。


ぼくの知らない夏休みが始まる。